言葉
一般的に古典落語には定められた口演台本があり、噺家はこれを記憶して高座で再現する(ただしかならずしも筆記されたものとはかぎらない。多くの場合は口伝えである)。すなわち落語のもっとも基礎的構成要素は、これらの台本を含めた「言葉」であるといえる。言葉の側面から見た落語には以下のような特徴が指摘できる。
- 地の文と会話文(対話文)で構成されているが、噺の勘所にくると会話文によってテンポよく話をすすめてゆき、説明的な地の文がすくなくなる(この点が話芸としての講談との相違である)。
- 地の文の省略によって伝えきれないディテール(登場人物の細かい気持の変化や感情、会話をとりまく情景)は仕草によって補われて表現される。
- 登場人物の多寡にかかわらずすべてを一人で演じ、役割わけをしない。このため声調、言葉づかい、話しかたなどによって登場人物の個性を印象づける工夫がなされる。
- 会話文から地の文への移りやその逆の場面、あるいはその他大勢的な多人数の会話においては、だれの視点から語られているのか判然としないナラティブが存在したり、気づかない間にナラティブが入れ替わったりするが、それが聴衆には不自然に聞こえない。